息をのむほど美しい自然が残る世界遺産、屋久島。その中でも、ひときわ神秘的な存在感を放つのが、推定樹齢数千年とも言われる「縄文杉」です。今回は、太古の生命の息吹を感じられる縄文杉ツアーの魅力を、詳細な情報とともに余すことなくお伝えします。
この縄文杉ツアーで有名なのは縄文杉とハート型の切り株が見られるウィルソン株ですが、それ以外にも見どころはあります。是非最後まで見ていただければと思います。
縄文杉とは? 屋久島が育む奇跡の巨木
縄文杉は、屋久島に自生するヤクスギの巨木で、その名の通り縄文時代から生き続けているとされる、まさに「生きた化石」と呼ぶにふさわしい存在です。その推定樹齢には諸説ありますが、4000年から7200年とも言われ、日本で発見されている最大の杉であることからも、その雄大さがうかがえます。
屋久島は、年間降水量が多いことで知られ、「月に35日雨が降る」とさえ言われるほどです。この豊富な雨と、独特の地形が生み出す多種多様な植生、そして長い年月が、縄文杉をはじめとする屋久島の豊かな生態系を育んできました。1993年には、その稀有な自然環境が評価され、島のおよそ20%がユネスコ世界自然遺産に登録されました。
そのため、屋久島に存在する屋久杉はあまり大きくなれず、成長途中に強風や雪の重みで枝が折れたり、幹が曲がったりしてしまうため、縄文杉のような大きな杉が生き残りにくいと言われています。その中で、縄文杉が一番標高の高い場所で生きていけることがこの屋久島の奇跡といわれています。
縄文杉への道のり
色々なブログやツアーサイトでこの縄文杉のトレッキングはかなり過酷と言われています。個人的にも過酷だなーと思っておりますので、体力的に心配な人にも参考になればと思います。
ただし、ウィルソン株まででいいから行きたい!という人はもちろん体力は必要ですが、ほぼ確実に日帰りで見に行けますのでご安心ください。
このコースは全長約22キロメートル、往復で約10時間を要する本格的な登山です。途中には急な坂道や滑りやすい箇所もあるため、しっかりとした装備と十分な体力が必要です。また、天候が変わりやすい屋久島では、雨具の準備も欠かせません。さらに、環境保全のために携帯トイレの持参が推奨されています。
ご参考までに、私は60代の両親と3人でプライベートツアーに参加し、朝6時に登山口入り口をスタートし、17:45に登山口入り口に戻ってきました!約12時間かけて完遂しましたが、へとへとでした(時期は12月末)
一般的な縄文杉ツアーは、以下のルートをたどります。
荒川登山口からトロッコ道へ
ツアーは通常、荒川登山口からスタートします。ここから、かつて森林鉄道として使われていたトロッコ道を歩きます。このトロッコ道は比較的平坦で歩きやすく、約8kmの道のりが続きます。耳を澄ませば鳥のさえずりが聞こえ、苔むした線路の脇には屋久島固有の植物が顔をのぞかせます。森林の中をゆっくりと進むこの時間は、都会の喧騒を忘れさせてくれる至福のひとときです。
12月末なので、まだ朝は暗いです。そのためヘッドライトは必須です!ない場合はツアー会社からレンタル出来ます。道中手すりもなく、足を踏み外すと谷や川に落ちてしまうエリアがあり、大変危険ですので、集中して進みましょう。

帰り道に撮影しました、こんなところを暗い中歩いていました。。。

私は運がいいことに、野生のヤクシカと屋久島サルを見ることが出来ました。


【トロッコ道沿いの見どころ】
仁王杉(におうすぎ): トロッコ道の途中に現れる、その名の通り仁王像のように力強い姿をした杉です。2本の大木が寄り添うように立っており、その迫力に圧倒されます。

三代杉(さんだいすぎ): 3千数百年の間に命が受け継がれている今は三代目の杉が育っています。
出発時は真っ暗でヘッドライトが必要でしたが、山道を入るタイミングで日が昇ってきました。山道を登るまでに2回休憩がありますが、ここがトイレがある最後の休憩場所です。次の場所はかなり登った場所で携帯トイレを使用する必要があります。

大株歩道入口から本格的な山道へ
トロッコ道が終わると、いよいよ大株歩道入口に到着です。ここからが本格的な山道となり、急な階段や根の張り巡らされた道など、起伏に富んだ道のりが続きます。滑りやすい場所や足場の悪い場所もあるため、しっかりとした登山靴とトレッキングポールが必須です。トレッキングポールはツアー会社からレンタルすることが出来ますので、予約時にお願いするといいと思います。
【屋久杉の道中の見どころ】
翁杉(おきなすぎ): 2010年に倒壊してしまったものの、かつては縄文杉に次ぐ巨木として親しまれていました。その雄大な姿はもう見られませんが、その場所からかつての威容を偲ぶことができます。自然の厳しさ、そして時間の流れを感じさせる場所です。

ウィルソン株: 屋久島を代表する見どころの一つで、切り株としては日本最大級です。かつては巨大な杉の木でしたが、江戸時代に伐採されました。その切り株の中に入ることができ、内部から上を見上げると、ある特定の角度で美しいハート型に見えることで有名です。多くの人々がこのハート型の写真を撮ろうと訪れる人気のスポットです。切り株の中に差し込む光が作り出す幻想的な空間は、まさに神秘的の一言。この巨木がかつてどれほどの大きさだったのか、そして伐採された後に新たな生命を育む土台となっている生命の循環を感じられます。

夫婦杉(めおとすぎ): 2本の杉がまるで寄り添うように生えていることから名付けられました。根元でつながっているわけではなく、それぞれの杉が独立して立っているにもかかわらず、その姿はまるで長年連れ添った夫婦のよう。自然が織りなす造形美に感動を覚えます。
大王杉(だいおうすぎ): 縄文杉が発見されるまでは、屋久島最大の杉とされていました。樹高も縄文杉に引けを取らないほどの威容を誇り、その太い幹には長い年月が刻まれています。

そして、縄文杉との対面
数々の杉との出会いを経て、ついに縄文杉展望デッキに到着します。展望デッキから眺める縄文杉は、まさに圧巻の一言です。その巨大な幹は大地にしっかりと根を張り、複雑に入り組んだ枝は天に向かって伸びています。長い年月をかけて形成された幹の凹凸や、苔むした表面からは、計り知れない生命のエネルギーを感じ取ることができます。その場に立ち、悠久の時を生きてきた縄文杉と向き合うと、私たちは自然の一部であること、そして地球の歴史のほんの一部を生きているに過ぎないことを改めて実感させられます。
推定樹齢2100年から7200年とも言われるこの巨木は、屋久島最大の屋久杉として知られています。


縄文杉ツアーを快適に楽しむための準備と注意点
縄文杉ツアーは、準備をしっかり行えば初心者の方でも挑戦可能です。
持ち物リスト(必須)
- 登山靴: 防水性があり、足首をサポートするものが理想的です。
- レインウェア: 上下セパレートタイプで、透湿性のあるものが良いでしょう。屋久島は天候が変わりやすいので、必ず持参してください。
- バックパック: 両手が空くように、容量のあるものがおすすめです。
- 行動食・飲み物: トレッキング中は自販機や売店がないため、十分な量を持参しましょう。おにぎりやパン、チョコレートなどがおすすめです。
- ヘッドライト: 早朝出発の場合や、万が一の備えとして持参しましょう。
- トレッキングポール: 足への負担を軽減し、バランスを取りやすくなります。
- 防寒具: 標高が高いため、夏でも肌寒い場合があります。薄手のフリースなどがあると安心です。
- 着替え: 汗をかいた後や、雨で濡れた場合に備えて持参しましょう。
- 携帯トイレ:山頂付近では携帯トイレブースがありますが、携帯トイレがないと用を足せません。
その他あると便利なもの
- 携帯電話の充電器: 写真をたくさん撮る方は必須です。
- 常備薬: 必要に応じて持参しましょう。
- ウェットティッシュ・タオル:汚れや手、汗ふきように。
- ゴミ袋: ゴミは必ず持ち帰りましょう。
ツアー中の注意点
- 体力に合わせたペースで歩く: 無理は禁物です。疲れたら休憩を取りましょう。特に階段や段差を上がる際には片足ずつ1歩1歩ゆっくり行くと疲れにくいです。
- ガイドの指示に従う: 安全のために、ガイドさんの指示は必ず守りましょう。
- 自然を大切にする: 植物や動物に触れたり、石を持ち帰ったりしないようにしましょう。
- 落石・倒木に注意する: 足元だけでなく、上にも注意を払いましょう。
- トイレは指定された場所で: 環境保護のため、携帯トイレの使用を推奨される場合があります。
- 携帯電話の電波状況: 場所によっては電波が届かないことがあります。
※緑色でハイライトしている持ち物はツアー会社からレンタル可能なものです。
おすすめツアー会社
私たちは屋久島メッセンジャーさんを通じてプライベートツアーを依頼しました。団体だとみなさんとペースをあわせないといけないのですが、これだと我々にガイドさんが合わせてくれます。
また、屋久島メッセンジャーさんはとても気さくなツアーガイドさんで色々な屋久島の説明から、ベストの撮影スポットをたくさん教えてくれるため、こんなに長い時間でも終始楽しんでツアーを無事終えることができました。
るるぶなどの本にも紹介されています。
屋久島のベストシーズンは
縄文杉ツアーは年間を通して可能ですが、特におすすめなのは春(4月~6月)と秋(9月~11月)です。この時期は比較的気候が安定しており、新緑や紅葉も楽しめます。夏は暑く、冬は積雪の可能性があるため、より入念な準備が必要です。
でも雪の屋久島も素敵でした!

最後に
屋久島の歴史をたくさん聞け、屋久杉について詳しくなり、屋久杉の大切さを理解でき、最後にお土産に屋久杉で作られた湯飲みを購入しました。
屋久杉は伐採できず、加工できるものは埋設された屋久杉、土埋木しか利用できないようです。その数も年々減少しているため、屋久杉の希少価値は上がり、ゆくゆくは名産品が作れなくなるとか、、、
ぜひ、あなたも屋久島の縄文杉を訪れ、その神秘的な世界を五感で体験してみてください。
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