屋久島の北部に位置する白谷雲水峡は、標高600mから1050mに広がる原生林で、1993年に世界自然遺産に登録された屋久島の中でも特に神秘的なスポットとして知られています。映画『もののけ姫』の舞台のモデルにもなったとされるこの森は、苔むす巨岩や清流、屋久杉が織りなす幻想的な景観が魅力です。
屋久島といえばどのツアーガイドブックにも載っている白谷雲水狭と縄文杉ですが、今回は、白谷雲水峡の魅力や背景、ツアー中の見どころについて詳しくご紹介します。縄文杉のツアーの見どころを見たい方は別記事も是非ご参照ください!
世界遺産 屋久島 縄文杉:樹齢数千年の巨木に会う感動トレッキング体験
白谷雲水峡の魅力と背景
神秘的な苔むす森と豊かな生態系
白谷雲水峡の最大の魅力は、何と言っても「苔むす森」です。この森は、倒木や岩が一面に苔で覆われ、まるで別世界に迷い込んだかのような幻想的な雰囲気を醸し出しています。屋久島には日本に生息する約1800種の苔のうち、約600種が確認されており、その多様性と美しさは訪れる人々を魅了します。
白谷雲水峡は、屋久島の豊かな生態系を体感できる場所でもあります。ヤクシマザルやヤクシカなどの野生動物に出会うこともあり、自然の息吹を感じながらのトレッキングが楽しめます。また、江戸時代には奉行が巡視に訪れたことから名付けられた「奉行杉」など、歴史的な背景を持つ屋久杉も点在しています。
※今回は奉行杉には寄りません。
ツアーの魅力
白谷雲水峡には、体力や時間に応じて選べる複数のコースが用意されています。初心者向けの「弥生杉コース」は約1時間(約2km)で、巨木「弥生杉」を見ることができます。中級者向けの「奉行杉コース」は約3時間(約4km)で、複数の屋久杉を巡ることができます。上級者向けの「太鼓岩往復コース」は約6時間(約5.6km)で、苔むす森や太鼓岩を含む充実した内容となっています。
今回は奉行杉コースではなく、太鼓岩コースを選択しました。
私たちは屋久島メッセンジャーさんを通じてプライベートツアーを依頼しました。団体だとみなさんとペースをあわせないといけないのですが、これだと我々にガイドさんが合わせてくれます。
また、屋久島メッセンジャーさんはとても気さくなツアーガイドさんで色々な屋久島の説明から、ベストの撮影スポットをたくさん教えてくれるため、こんなに長い時間でも終始楽しんでツアーを無事終えることができました。
るるぶなどの本にも紹介されています。
2024年の台風直撃により、今現在のコースは少し、変わっており、山道を使用して苔むす森に行くため、時間がかかるようになっておりますので、ご注意ください。
1. 飛流おとしの滝
白谷雲水峡の入口からほど近い場所にある「飛流おとしの滝」は、落差50mの迫力ある滝です。花崗岩を削って流れ落ちる水の美しさは、訪れる人々を圧倒します。遊歩道や橋の上からその姿を眺めることができ、トレッキングの序盤で心を奪われるスポットです。

2. 2代杉(切り株更新)
屋久島で見られる「二代杉」とは、江戸時代に伐採された屋久杉の切り株の上に、新たな杉が芽吹き成長したものです。切り株に光が差し込み、苔が繁り、杉の種が落ちて再生が始まる現象は「切り株更新」と呼ばれます。中でも杉が優勢に育った場合を特に「二代杉」と言います。初代の命の上に次代が根を張る姿は、屋久島の自然が持つ再生力と命のつながりを象徴しています。

先に進むと二代くぐり杉を見れます。
「二代くぐり杉」は、倒木更新によって育った二代目の杉で、根元がトンネルのようになっており、実際にくぐることができます。

3. 苔むす森(もののけの森)
次はメインの苔むす森ですが、私のおすすめはその道中にある、景色です。そこも見逃さず写真を撮ってください。

映画『もののけ姫』の舞台のモデルとされる「苔むす森」は、白谷雲水峡の中でも特に人気のスポットです。標高約860m、登山口から約1.8kmの地点に位置し、苔に覆われた岩や倒木、シダ植物が織りなす風景は、まさに幻想的です。雨上がりには苔が一層鮮やかになり、神秘的な雰囲気が漂います。

もののけ姫好きな方はぜひ樹神を購入してみてください。



4. 太鼓岩
トレッキングの最終目的地として人気の「太鼓岩」は、標高1050mの地点にある花崗岩の巨石です。ここからは、屋久島の山々や森を一望できる大パノラマが広がります。特に晴れた日には、遠くの海まで見渡すことができ、その絶景は訪れる人々に感動を与えます。
太鼓岩の名前は、「岩を叩くと太鼓のような音が鳴る」という伝承に由来しています。叩くとそのような音が鳴る場所は限定されていますが、ガイドさんと一緒にいくと教えてくれます。私はその音をかすかですが聞くことができました。

もののけ姫に登場する“岩の庇(ひさし)”
もし時間に余裕があれば、屋久島・白谷雲水峡の太鼓岩近くにある「もののけ姫のワンシーンのモデル」とされる巨大な岩にも訪れてみてください。映画『もののけ姫』に登場する“山犬の神モロ”が寝そべっていたシーンのモチーフの1つだと言われています。

ツアー中の醍醐味
屋久島は、「水の島」とも称されるほど水資源が豊富で、登山道や森の中を歩いていると、いたるところに清らかな沢や湧き水が流れています。これらの水は、日本でも有数の「飲める天然水」として知られています。
屋久島の地質は主に花崗岩(かこうがん)でできており、ミネラル分が溶けにくい性質を持っています。そのため、雨水が地下を通る際に不純物が自然にろ過され、クセのないやわらかい軟水になります。
是非、ここで水を汲み、コーヒーを各休憩地点で試してください。大自然の中、おいしい屋久島の水を使ったコーヒーは格別です!
縄文杉ツアーを快適に楽しむための準備と注意点
縄文杉ツアーは、準備をしっかり行えば初心者の方でも挑戦可能です。
持ち物リスト(必須)
- 登山靴: 防水性があり、足首をサポートするものが理想的です。
- レインウェア: 上下セパレートタイプで、透湿性のあるものが良いでしょう。屋久島は天候が変わりやすいので、必ず持参してください。
- バックパック: 両手が空くように、容量のあるものがおすすめです。
- 行動食・飲み物: トレッキング中は自販機や売店がないため、十分な量を持参しましょう。おにぎりやパン、チョコレートなどがおすすめです。
- トレッキングポール: 足への負担を軽減し、バランスを取りやすくなります。
- 防寒具: 標高が高いため、夏でも肌寒い場合があります。薄手のフリースなどがあると安心です。
- 着替え: 汗をかいた後や、雨で濡れた場合に備えて持参しましょう。
- 携帯トイレ:山頂付近では携帯トイレブースがありますが、携帯トイレがないと用を足せません。
その他あると便利なもの
- 携帯電話の充電器: 写真をたくさん撮る方は必須です。
- 常備薬: 必要に応じて持参しましょう。
- ウェットティッシュ・タオル:汚れや手、汗ふきように。
- ゴミ袋: ゴミは必ず持ち帰りましょう。
ツアー中の注意点
- 体力に合わせたペースで歩く: 無理は禁物です。疲れたら休憩を取りましょう。特に階段や段差を上がる際には片足ずつ1歩1歩ゆっくり行くと疲れにくいです。
- ガイドの指示に従う: 安全のために、ガイドさんの指示は必ず守りましょう。
- 自然を大切にする: 植物や動物に触れたり、石を持ち帰ったりしないようにしましょう。
- 落石・倒木に注意する: 足元だけでなく、上にも注意を払いましょう。
- トイレは指定された場所で: 環境保護のため、携帯トイレの使用を推奨される場合があります。
- 携帯電話の電波状況: 場所によっては電波が届かないことがあります。
※緑色でハイライトしている持ち物はツアー会社からレンタル可能なものです。
時間が余った人のための観光スポット
白谷雲水峡に行った際には半日で終わることケースもあるので、他の観光スポットに行く時間があります。そんな方は時間と相談して、以下の場所に行ってみてはどうでしょうか。(車必須)
平内海中温泉
屋久島で唯一、海の中に湧く天然の露天風呂。干潮時にのみ入浴可能で、まさに「海と一体になる」非日常体験が楽しめます。干潮の前後2時間しか入浴できないため、タイミングが合うならぜひ行ってください。

混浴となっておりますが、現在では、湯浴み着やバスタオル巻きを着用して入ることが許されておりますので誰でも安心して入浴できます。

料金は300円ですが、現金以外にも今どきの電子決済も可能でした(笑)

大川の滝
落差88mを誇る、屋久島最大級の滝。道路脇から徒歩1分でアクセスできる絶景スポットで、迫力満点の水しぶきと轟音が圧巻です。雨の多い屋久島ならではの水量とスケールを間近で体感できます。観光の合間に立ち寄れる立地も魅力で、写真映えスポットとしても人気です。

大川の滝の道中には運がいいとヤクシマザルにも会えます。

まとめ
白谷雲水峡は、屋久島の豊かな自然と歴史を体感できる貴重なスポットです。苔むす森や太鼓岩など、幻想的な風景が広がるこの地でのトレッキングは、日常を忘れさせてくれる特別な体験となることでしょう。初心者から上級者まで楽しめるコース設定や、ガイド付きツアーの充実により、誰でも安心して参加できます。屋久島を訪れた際には、ぜひ白谷雲水峡のツアーに参加して、その魅力を全身で感じてみてください。
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